「ラジオ体操」の弱点を洗い出しグレードアップ、せっかくするなら効果を高く

国民的運動として定着している「ラジオ体操」の弱点を洗い出しグレードアップ、せっかくするなら効果を高くするという事が今回のテーマです。

ラジオ体操の始まり

ラジオ体操は1928年(昭和3年)11月1日にスタートしました。「国民全体の健康を願って作られた体操」で文部省が任命した7人の体操考案委員により作成されました。
戦争で一度は中断しましたが、新たな体操が「新ラジオ体操制定委員会」により現在の形になったのは戦後の1951年(昭和26年)のことです。
当時の運動の専門家たちが集まり、「簡単、容易で誰にでもできるもの」「どこでもすぐやれるもの」「調子が良くて、気持ちのいいもの」というコンセプトで健康増進ができるように、一つ一つの動きが練りに練って作られました。

ラジオ体操の事業は、その後民営化された、株式会社かんぽ生命保険とNHKおよびNPO法人全国ラジオ体操連盟によって受け継がれています。
もともとは逓信省簡易保険局が、海外の保険事業を視察した際、米国でメトロポリタンライフ生命保険会社(メットライフ) が行っていた、ラジオ放送による健康体操「メトロポリタンライフ ヘルス エクササイズ(Metropolitan Life Health Exercise)」を参考にしたと言われています。

私自身も子供の頃から学校で地域で体操していました。朝早くから出席カードのはんこのために早起きして近所の公園に行っていたことも思い出します。
今でもNHKで放映されています。

基本的に体を動かすことはいいことですので、体操は健康にはいいと思います。
しかし、間違った動作を繰り返すと悪い癖はついてしまう落とし穴があります。
同じ労力をかけるならより質が高い方がいいですよね。
質を上げるためのびっくりするくらい簡単ないくつかのポイントがありますのでご紹介します。

ラジオ体操の質を上げる

さてラジオ体操の弱点を上げるとすれば運動動作としてどこに問題があると思われますか?
ここでいくつか思い当たることのある方はかなりの運動感覚をお持ちです。

では「ラジオ体操」のどこに運動として変えるべき点(弱点)があるのでしょっか?
以下の3点を挙げることができます。
①体幹動作ではなく手足動作を意識させてしまう
②シンメトリー動作(左右同調動作)
③動作指導せず動かし方しか言わないので、個々人で間違った動作をしがち
今回は「①体幹動作ではなく手足動作を意識させてしまう」を取り上げます。

体幹動作ではなく手足動作を意識させている?

「ラジオ体操」の最初の声を振り返ってみましょう。
○ラジオ体操第
「腕を前から上げて背伸びの運動から。」
「背筋を十分に伸ばしましょう、手足の運動から」
○ラジオ体操第二
「両足飛びの運動です。…….手足の曲げ伸ばし」

運動の基本は体幹からです。
ややこしい重心や重力との関係を省き単純にいえば、あらゆる運動は体幹からはじまらなければパフォーマンスは上がりません。
しかし、「ラジオ対体操」は冒頭のみならず、随所に手足運動を意識させる言葉が続きます。

「腕を振って体をねじります」に至っては最悪です。
体幹がねじれるので腕が振れる事が正解で、この逆では話になりません。
「体をねじって腕が振られます」が正解です。

言葉は大切です。運動を行う寸前にどういう言葉を使ったかで運動は変わります。
例えば何かをたたくとき「バシッ」なのか「パシッ」なのかで変わります。
ですから「手足の運動から・・」で手足の運動を意識し実行してしまいます。
ましてや何回も何十回も繰り返せば「手足の運動」がしみ込んで無意識に実行してしまいます。

では解決策です。
簡単すぎてびっくりします。
「手足の運動から」を「体幹の運動から」
「手足を伸ばす」を「全身のすべてを伸ばす」
「腕を振って体をねじります」を「体をねじって腕が振られます」
に代えてください。できれば声に出してください。
その他、体幹が原因、手足は結果となるように意識を変えてください。
これだけで異次元の効果が期待されます。

野球のピッチャーがボールを投げるときに、腕を振った結果、体がねじれているのではたいした球は投げられません。
すぐに肩などの関節を痛めるでしょう。
体幹がねじれて戻るエネルギーが腕に伝わってボールを投げるのでなくては運動になりません。
今年(2023年)春に行われたWBC(ワールドベースボールクラシック)の時の投手の体幹の張りとねじれはスゴイの一言です。

手足が先か、体幹が先かは運動にとっては致命的なほど結果が変わる

子供の頃から慣れ親しんだ「ラジオ体操」が全ての原因とは言いませんが、
多くの日本人がストレッチなどをするときに手足伸ばしを中心にしている人が圧倒的に多いように見受けます。

たとえば、前屈をすると膝が伸びにくい人をでみてみましょう。
伸びにくくピーンとすると痛い方は「足が硬いので」と思いがちです。
足の硬さもありますが足は結果です。
本当は胴体が硬いのです。硬い胴体が伸びないので胴体に比して弱い足が引っ張られているのです。
胴体を堅いままに手足を伸ばすと弱い手足は犠牲になりますので手足は故障します。
何もしないで固まっている本社に支店が苦しめられているようなものですね。

体幹動作で何が思い浮かぶでしょうか。
腹筋などの筋トレ以外に思いつくでしょうか。
手足を使ってではなく体幹の柔軟運動は思いつきますか?

仙腸関節は柔らかいですか?
骨盤は反っていませんか?
背骨(24本)はバラバラに自由に動きますか?
肩甲骨は張り付いていませんか?
肋骨は柔らかく呼吸はスムーズですか?
腰の一点に力が集中していませんか?
などなど

肩こり、腰痛大国日本。
「手足運動」ではほぼ直りません。
むしろ身についた手足運動を日常生活で行うことで肩こり、腰痛が起きています。
身心代謝が悪くもなります。

願わくば「ラジオ体操」も現代にあった正しい運動を示せるようリニューアルしたいものです。

 

   

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