結局、骨盤は前傾?後傾?どちらが正解-姿勢の誤解が招く体の不調⑤

今回は、多く議論されいまだに統一見解の出ない骨盤の前傾・後傾の話です。
スポーツ系のアスリートは骨盤前傾を推奨します。
武道系の達人は骨盤後傾を推奨します。
結局どっち?
いまだに両方がネット上でも書籍でも互いを無視して推奨されています。
普通の人にとっては厄介な問題でしょう。
しかし骨盤ですからに絶対に重要な問題です。

骨盤の前傾・後傾の利点と欠点

ではそれぞれの利点と欠点を考えてみましょう。
骨盤前傾の利点
・重心が前に出るため歩く・走るに適している
・スピード系の運動に適している
・お尻が上がってかっこいい
・背中が横から見て立体的になるのでかっこいい
骨盤前傾の欠点
・腰が反ってしまい腰痛になりやすい
・野球やゴルフなどの回転がある競技程、腰・背骨を傷めやすい
・前傾姿勢になるので疲れやすい
・つま先に荷重がかかり土踏まずが壊れやすい
・膝が前に出るために膝をねじりやすい
・将来、腰が曲がりやすい
骨盤後傾の利点
・重心が後ろにあるために柔道やラグビーなど対人格闘系に有利
・スピードより力強い動作ができる
・回転・ターンがしやすい
・腰が反らないので腰痛になりにくい、怪我しにくい
骨盤後傾の欠点
・スピード系の運動に適していない
・尻が下がるのでカッコ良くない
・背中が横から見て平面的になるのでカッコ良くない

まとめてみますと
骨盤前傾は素早い動きを実現(直進得意)する代償として腰を痛めやすい。
骨盤後傾は力強い動きを実現(回転得意)する代償として背中側が美しくない。
となります。

骨盤の前傾・後傾、結局どっちがいいの

ではいよいよ結論です。
実は骨盤前傾も骨盤後傾も半分あっていて半分間違っています。
骨盤を一個の塊ととらえることがそもそもの間違いです。
骨盤は様々な骨からできておりひとくくりに考えてはいけません。
比較的、左右分割は考えやすいのですが、前後分割が難しいかもしれません。
今回は骨盤前傾・後傾の話ですから左右分割はおいておいて、ここでは前後分割の話になります。

細かくすると複雑になりますのでなるべく簡単に解説します。
骨盤はざっり言いますと
寛骨(かんこつ)=「腸骨(ちょうこつ)」+「坐骨(ざこつ)」+「恥骨(ちこつ)」×2(左右)
仙骨(せんこつ)
からできています。
実は寛骨が前傾し仙骨が後傾することで仙腸関節に逆テンションがかかりバランスをとっているのが骨盤です。
寛骨は生きたい方向に傾斜します。
歩くのであれば当然前傾します。
それに対して仙骨は逆方向に傾斜します。
すると接続点の仙腸関節に逆テンションがかかるわけです。

赤い矢印は各部のテンションの方向です。
背骨はS字の逆方向であることが重要です。
青い線は頭部の重さが背骨を通じて仙骨に後傾テンションをかけるイメージです。
仙骨は頭の重さが背骨のS字に逆テンションをかけ仙骨を後傾させます。
この頭の位置では顎に全く力みが入りません。
この姿勢ができると仙骨から背骨・頭部がゆらゆらと浮いた感じになります。
これが自然にできたゆらぎ・緩みです。

寛骨と仙骨が一緒の方向に動いている人は仙腸関節が固まっています。
そのため素早い動きができず、腰痛予備軍になります。

感覚をつかむのはたいへんですが、身体姿勢の肝です。
そのための体操を開発していますので、今後紹介できれば思います。
今回はまず正しい情報を認知してください。
それだけでも変わります。

 

 

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