姿勢の誤解が招く体の不調①仙骨が開き背骨が固まる

日本人の多くの方が、腰痛をはじめ、膝痛、股関節痛などに苦しんでいます。
年齢を重ねるごとに腰は曲がり、背骨がつぶれて伸長が低くなってしまいます。
2足歩行の人間の特徴は膝を伸ばして歩けることですが、着地点で膝を伸ばせなくなっています。
原因は様々な観点で説明可能ですし、人によって主たる原因が異なりますので、このシリーズではその様々な視点で分けて記したいと思います。

動作の前に姿勢がすべて

動作改善や体操などをいくらしても良くならない方が多いでしょう。
ましてや整骨院などの外力で調整してもすぐもとに戻ってしまいます。
根本的には姿勢(重心点と体の本来の姿)を直さなければいけません。
悪い姿勢で体操すれば悪い姿勢を強化してしまいます。
姿勢はまず意識改革からです。
何が良い姿勢なのかを学び知り、脳内の姿勢に対する誤解を解く必要があります。
いい姿勢とは何か?
現代日本人の誤解、先入観から理解し修正することが必要です。

現代日本人が考えるいい姿勢の間違い

いい姿勢とは何かを考える前に、まず「いい姿勢という名の悪い姿勢」を刷り込まれているために、ほとんどの人が考えを止めてしまいます。
何事も「本当って何?」と原点回帰が常に必要です。
私も身体を追求して40年近くになりますが試行錯誤の繰り返しです。
一度至った結論でも疑ってかかる必要もあります。
かの剣豪・宮本武蔵先生も「入口から入って奥の奥を探究したら、結局入口が正しかった」ことは何度もあり奥が正しいとは限らないと語られています。

話がそれましたが、日本人の誤解はどこからきているのでしょうか?
実は軍隊様式をいまだに取り入れ続けている学校教育の「気をつけ」にルーツがあります。
警察やスポーツの整列、応援団、ボーイスカウトなど様々なシーンで直立不動姿勢として取り入れられています。
現代の日本人は直立不動をよい姿勢と思い込み、ビジネスでもこの姿勢をとらないと相手に失礼と思っています。
TVのアナウンサーはそのためこの姿勢になります。
余談ですが、ビートたけしや所ジュージは直立不動にはならずリラックスした自然な姿勢になっています。
現代の日本人からすると行儀が悪く見えるかもしれません。
新人芸人がひな壇に座ると芸風でもない限り直立不動に座っています。

直立不動とは単純に背筋を伸ばす、胸を張る、猫背はいけないという姿勢です。
以前、サッカーの三浦カズとネイマールが並んで座っているポスターがありましたが、カズの背筋はのびて、ネイマールは丸まっていました。
この背筋を伸ばした直立不動こそが、実は諸悪の根源です。
野生児ターザンが背筋を伸ばして現れたら違和感があるはずです。

背筋を伸ばしたら何が問題?

若干専門的に言いますと、背筋を伸ばすと、体の重さを背骨で支えることになります。
これも勘違いしている人が多いのですが、背骨は体重(特に頭の重さ)を支えてはいけません。
やってみればわかりますが、背骨(背中)に荷重がかかれば背中は動きません。
背骨が動かない脊柱動物なんておかしいですよね。
重さは前側(お腹側)にかかるべきです。
▼背筋を伸ばす胸を張る直立不動の問題点
・背中側に体重が乗って背骨が稼働できない。
・緊張してリラックスできない。
・重心がつま先方向にでて踵が浮き足のアーチが崩れる。
・背骨のS字がきつくなり胸が上がり腰が反り仙骨が外に開く。
・骨盤が前傾し鼠径部がちじみ股関節が固くなる。
・膝歩きとなり膝がねじれる。
・肩こり、頭痛の要因ともなる。
・その他一杯ある。

当然ですが直立不動がいい姿勢という先入観を捨てましょう。
リラックスした姿勢がいい姿勢です。

まず仙骨をおさめ骨盤の傾きを修正する

さて改善方法ですが、様々なアプローチがあります。
今回は仙骨と骨盤の傾きの修正です。
細かいようですが骨盤の傾きを直せば仙骨が修正されるのではなく、仙骨が正しい位置に収まれば骨盤は正しく決まります。
順番は大切です。
仙骨は背骨の末端ですから仙骨の状態が背骨に反映します。

まず腰部は反らずに、まっすぐでもなく、外側に丸まっているのが正しいと理解してください。
S字の反対ですね。
仙骨は外側へ開いていれば、S字がきつくなって腰部が反り胸部が丸まり頭は前へ出ます。
原因として考えられることは、

▼背骨の先端の固定(ここも多大な影響)
①顎のかみしめ癖
②舌が落ちている
③目を見開く癖がある(PCやスマフォなどを見るときに多い)
④言葉を口先で話して喉が開いていない(日本語の特徴、英語の発音では少ない)
▼背骨胸部が丸まる
①腕部と肋骨(あばら骨)が癒着している
※特に鎖骨が癒着、肩甲骨ではないので肩甲骨はがしは無意味
※癒着している人は肋骨上部の認識がなく動かせない
▼腰部が反っている
①踵が踏み込めず、つま先に重心がかかる
※歩行で一番体重が乗る場所が母指球あたりの人(本来は踵)
※腹が使えず腹圧が抜け背中で体重を支えている
②呼吸時、腹を膨らませたり縮めたりしているので腰部が前へ引っ張られる
③スタイルを気にしてお腹を引っ込めるので腹圧が消える
▼仙骨が外側へ開く(最も影響)
①上記の理由のつけが末端の仙骨の負荷になる
②太ももの前側(大腿四頭筋)メインで裏のハムストリングが使えていない
③腹部(特に下腹)がボヤっとしているので、仙骨を前側に引き上げられず、鼠径部が詰まっている
④重心が後ろ(背骨側)にずれ前側が使えていない
⑤踵が踏み込めず足のアーチが崩壊
などです。

仙骨が前側へおさめられていれば、当然骨盤(寛骨)は仙骨が開いているよりは後傾します。
骨盤は前傾でも後傾でもなく中間がいいのですが、ほとんどの日本人が前傾方向に力みますので、まずはいったん後傾すると思ってください。
基本骨盤(寛骨)は、仙骨と大腿骨の引き離されるテンションで緩んでいる状態が正しいです。
(動作中、骨盤(寛骨)は前傾や後傾を含めて固定しませんから。)
しかし骨盤(寛骨)は仙骨についてきますので、今回はあまり気にしなくてもOKです。

姿勢を良くしよう、お尻を上げてスタイルを良くしよう、お腹を引っ込めて見せようという人ほど、ひどく前傾しています。
当然この前傾状態が中間と思っています。
仙骨が開いて骨盤が前傾し固まっている人は、むしろお尻が垂れて(下がって)います。(先入観との闘いですね)
一流アスリートのお尻が上がって見えると骨盤(寛骨)が前傾しているように勘違いしますが、決して前傾していません。
骨盤(寛骨)が前傾固定したら速く走れません。

世の中にあるイラストや解説はほぼ骨盤(寛骨)が後傾して尻が垂れるような図になっていますが、勘違いです。
骨盤(寛骨)の角度の問題ではなく骨盤が固まり重心が決まらないため膝が伸びないことが尻が垂れている原因です。
お尻が上がって股関節が柔らかい人は仙骨がおさまり骨盤が中間(前傾している人にとってはかなり後傾の感覚)にあります。

確認です。
俗にいう複式呼吸をしてください。
腹部を動かしての呼吸です。
・・・・・(実行)
いかがですか?お腹が前へ出たり引っ込んだりしていますか?
もしぞうだとすれば、仙骨が開いて骨盤が前傾している証拠です。
仙骨がおさめ骨盤が正しい傾斜をして解放いされれば腹圧が自然とかかり、お腹が壁のようになって前へ膨らまず背中側に気圧が回って腰を含む背中側が膨らむはずです。
仙骨が開いて骨盤が前傾しているために腹圧が抜けお腹がボヤっとしている状態です。
当然、腹圧が抜けていますから内臓も動きにくく腸を中心とした消化器系の動きも悪くなります。

仙骨をおさめ骨盤(寛骨)を緩ませる

仙骨がおさまらず骨盤が前傾して固まっている場合は、まず仙骨を中間位置(開いている人にとっては思い切り内側におさめる)の姿勢に戻しましょう。

①立っていても座っていてもいいので「へそ」見ます。(腰部が丸まる)
②腹筋を使ってへそに向かって縮めます。
鳩尾を下へ、下腹は仙骨下部先端の尾骨を下から丸め込むようにへそに向かって、わき腹をへそに向かって
骨盤は意識して動かさずにしておく。
③尻の半分から下をイメージして大腿骨を踵方向に引っ張る。(主にハムストリングで踵を突き出す)
④その姿勢で呼吸を吐く、吐ききったらその姿勢を変えずに吸ってまた吐く。どんどん顔と尾骨がへそに近ずく
⑤仙骨←→骨盤(寛骨かんこつ)←→大腿骨が引き離される感じ(仙腸関節・股関節が緩む)

チェック点
①腹圧が自然とかかるので、吸った時腹は動かず背中側が膨らむ
②骨盤を前側び引き上げているので鼠径部が広がる。骨盤(寛骨)と大腿骨が引き離される。
③腰部が丸く外側に膨らんでいる。
④つま先や足の甲に力が入ると膝が伸びて股関節が伸びないので踵のみで引っ張る

コツはお腹(脇腹含む)の脂肪をへそに集める感じです。
また、尾骨と口がへそで出会うように近づいてください。
骨盤(寛骨)は意識せず、後からついてきます。
筋肉というよりは呼吸力で引きあってください。

何度か繰り返した後、腰回り骨盤の中が緩んだ感じになれば成功です。


自然と膝も伸びているはずです。
その他、前屈や開脚などがしやすくなっていればなお効果があったことになります。
前屈や開脚はストレッチとしてやってはいけません。体を痛めます。
あくまでも効果の確認をするために軽く行ってください。
通常時は尾骨と顔が前側でつながって引き合っている感覚で行動して下さい。
自然と踵に体重が乗ります。

仙骨をおさめ骨盤を開放(緩む)できれば、立ちすわり、しゃがむことは相当楽になります。
ぎっくり腰にはなりません。
鏡で見てお尻が上がっていることも確認になります。
胴体の延長に尻が見えるのではなく、膝が伸びた足の延長に尻が見えるようになれば完璧です。
くれぐれも姿勢を作らないでください、結果としてなるものです。

幼児は仙骨が分かれており、徐々にくっついて一つになります。
その際、強く尻もちをついたりすると仙骨が変形している場合もあります。
しかし仙骨の姿勢が確保できれば問題ありません。

次回以降に記しますが、今一つ大きな問題があります。
足裏の重心点と接地です。
ほとんどの靴は踵が高くつま先が浮いています。
これが足を崩し、つま先側重心になり骨盤を前傾させます。
次回をお楽しみに・・・。

 

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